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2024年2月15日 歯の汚れだけじゃない!口腔内の病気の数々

こんにちは!獣医師の矢野です。

今日は以前にブログで紹介のあった歯周病ではなく、それ以外の口腔内の病気を取り上げます。

様々な病気が考えられますが、口腔内にプクッとデキモノ(腫瘤)ができてしまった場合にどのような病気が考えられるかをご紹介します。

 

動物で最も一般的な腫瘤の正体は「エプリス」です。エプリスとは歯肉に生じた増殖性腫瘤を総称したものであり、診断は病理組織検査にて行います。歯肉や歯根膜、歯槽骨膜と呼ばれる歯の根元にある組織への何らかの外的刺激が原因と言われています。そのため、歯石除去や歯みがきを徹底し、歯肉炎等を予防することで発生率を下げることができると考えられます。

 

炎症や良性腫瘍も多いですが、悪性腫瘍の場合もあるので注意が必要です。

口腔内の三大悪性腫瘍は

 

・悪性黒色腫(メラノーマ)

・扁平上皮癌

・繊維肉腫

 

です。このうち悪性黒色腫は高齢の犬でよくみられる悪性腫瘍です。周囲の正常な組織に浸潤していくだけでなく、早期に肺などへ転移しやすい性質があります。

猫では扁平上皮癌がよくみられ、局所浸潤性が非常に高く予後不良です。

肺などへの遠隔転移が認められた場合、治療は非常に困難となります。最悪の事態から逃れるためにも【早期発見】が重要です!!

早期発見のポイントは…

 

☆毎日のデンタルケア☆

☆愛犬・愛猫からのサインを見逃さない☆

 

です!!

まずは1日に1回歯磨きの習慣をつけることで、歯の汚れを落とすことができるのはもちろん、口の中に異常がないかもチェックすることができます。歯みがきが苦手な子は、顔や口を触ることから始めて少しずつ慣れさせてあげましょう。また、腫瘍は痛みを伴うことがありますので、よだれをダラダラ垂らす、食欲が落ちているといった痛みのサインを見つけてあげましょう!口臭や口からの出血、顔が腫れることもあります。このような異常や違和感を感じた時にはすぐにご相談ください。

 

口腔内の腫瘤の検査は、基本的には全身麻酔下で行います。まずは血液検査や画像検査で全身状態をチェックし、問題がなければ早めに検査しましょう。写真にあるような道具を使って、細胞を採取したり組織を一部切り取って病理組織学的に検査する方法等があります。どのような検査方法や治療方法を選択するかは、獣医師が最善の方法をご提案させていただきます。

 

ワンちゃんネコちゃんの歯みがきをすることは簡単なことではないですが、毎日少しずつ、継続することが大切です。また、その子に合うデンタルケア方法を見つけるために私たちがサポートさせていただきますのでお気軽にお申し付けください。

 

また、口の中だけでなく身体のどこかに腫瘤を見つけた場合も早めにご相談くださいね!身体にしこりが見つかると誰しも不安になると思います。そんな不安を少しでも拭うことができるよう、私は日々腫瘍の勉強に努めておりますのでいつでもご相談ください!

 

2024年も皆様に寄り添った診療をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします!

病理組織学的検査に用いる器具(細胞診・組織生検)
病理組織学的検査に用いる器具(細胞診・組織生検)